2014.08.28 (Thu)
『ある科学者の死――そして、最近、日本で目立ち始めた、二種の「変動」』
良記事だと思う。↓
『特集ワイド:STAP問題、痛恨の笹井氏自殺 理研の危機管理は』
毎日新聞 2014年08月26日 東京夕刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20140826dde012040002000c.html
◇被害者意識交じり泥仕合招く 退院直後にマスコミの矢面立たせ
~上司の竹市雅俊センター長は「10日ほど前から、研究室の皆さんから最近、体調が悪そうだからケアしてあげる必要があると聞いていた。非常に苦しい状況だったのは明らかで、もう少し我慢してほしかったなと思います」と報道陣に語った。
「精神的に追い込まれた部下に『我慢』を求める上司は管理職失格です」。田中氏は手厳しい。
何が笹井氏を追い詰めていったのか。
「危機管理では謝罪すべき加害側に誰がいて、被害側に誰がいるかを見極めることが大切ですが、理研には被害者意識が入り交じっている。さらにSTAP問題における『危機の本質』を理研が理解していないから事態がここまでこじれたのです」と田中氏は言う。「危機の本質」とは、ずさんな論文を発表したこと、それを大々的にPRして日本の科学技術の信頼を失墜させたことの二つだ。
「ずさん論文の責任の重さは(1)小保方晴子・研究ユニットリーダー(2)笹井氏(3)理研の順ですが、大々的なPRの責任は(1)理研(2)笹井氏(3)小保方氏の順になる。こうしたねじれ現象は不祥事においては珍しくなく、別々に記者会見すれば責任のなすりつけ合いになるのは目に見えている。だからこそ謝罪会見は認識をすり合わせたうえで、全員一緒に開くのが原則なのです」
だが理研は3月14日に小保方氏抜きで会見を開き、トップの野依良治理事長は「未熟な研究者がデータをずさん、無責任に扱った」などと小保方氏を批判。一方、小保方氏も弁護士同席で会見し、論文撤回には同意していないと理研の発表に反論。泥仕合になり、新たな疑惑が次々と浮上していく。
その時、理研が事態沈静化のために頼ったのが笹井氏だった。4月16日の理研主催の会見で、笹井氏は3時間20分にわたって厳しい質問に答えている。ストレスで直前まで入院していた事実は報道陣には伏せられた。「笹井氏は一見うまく受け答えしているように見えましたが、何を聞かれるか分からず、厳しい質問が予想される記者会見は心理的負荷が極めて高かったはずです」。労働問題に詳しい小川英郎弁護士は指摘する。
厚生労働省の職場復帰ガイドラインは、メンタル面の健康問題で休業した労働者を職場復帰させる際には職場の産業医と主治医、本人、家族や上司で相談して段階的に進めることと定めている。
~
(文字強調はブログ主による)
「理研には被害者意識が入り交じっている」というのも、基本的に、同一組織内部で起きた問題だもんね。
「ストレスで直前まで入院していた」
これ、私も、笹井氏が亡くなられたときの報道で初めて知り、それは堪えるはずだわと思った。
それにしては、あの落ち着きはらった応答ぶり。。。
まあ、この記事中でも述べられている「産業医」なる存在価値が、どれほどのもんだか、私個人の経験では、小遣い稼ぎのアルバイト代わりじゃねえの?と思ったことはあるw
なんと言っても、もう、何もかもが遅きに失したという感が拭えない これまでと、そして、これからの予感なのだが、
振り返って第一には、
なるほど、基本的に「雇用者」の立場であった笹井さんは、上長にあたる立場の「竹爺」wこと竹市さんから、おまえ、オボカタを手伝ってやれや、との命を受けて、
また、そこに、貴重な研究時間を割いても自分自身にも見返りが見込めるというか、このさい、確実に見込めるように持って行ってやろうじゃないか、という野心的意気込みをもって、その類稀な手腕を注ぎ込み始めたと思う。
当初、「ヤフコメ」のなかでも、なぜか必死の ていで、竹市さんを擁護している投稿者が いたのを憶えているがw
ただ、私の想像するに、この笹井さんというかたは、基本的に、これは となると、こまやかに面倒見の良い面をも備え持っておられたのかなと思う。
御母堂の お話では、「ああ見えて、お父さんに似て、要領が悪い」ということだったそうだが、
こういう、医学とか理系筋に従事する人というのは、うちの身内なんかにも見るように、往々にして、怜悧を通り越し、なかなか冷酷な性質だったりもするのでw
医師となると、いったい、親切なんだか冷たいのだか、わかんないなあと思ってしまうこともあるのだが。
特に、学校の成績が良かったからという理由だけで、医学部に入って、医者になりました、とかいうの。
うちの身内も、まあ、そんなとこw
本当は、医者というよりも、アメリカあたりで研究するはずだったらしいんだけど、家庭の事情で、平凡な医者やっとりますわww
『笹井氏の遺書「STAP細胞再現して」は最大級の嫌味とも解釈可』
NEWS ポストセブン 8月20日(水)7時6分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140820-00000007-pseven-soci
さて、小保方さんが、笹井さんを尊敬し慕う気持ち自体に些かの偽りは ないと思われるし、生前の笹井さん御自身も、そこは、よく承知しておられたことと思う。
小保方さんへの遺書には、「ぜったい、スタップ細胞を再現してください」というコトバが綴られていたそうだが、私が、読んで思わず考え込まされたのは、その次に続く、
「それが済んだら」
というコトバ。
「それが済んだら、新しい人生を一歩ずつ歩み直してください、きっと、きっと」
と あったという。
それが済まなかったら。。。?
厭味どころでは なく、むしろ、教え子を温かくも厳しく諭す教師のようでもある。
しかし、
なんという厳しさ、そして悲痛な諭しだろうか。
シミ一つだに ない、輝くばかりに栄光の経験しかなかったであろう、
人生最初にして最後の見込み違いのなかで、慣れぬ責め苦に疲れ果てて去って行かれた、かの人へ、あらためて哀悼を捧げる。