2020.01.02 (Thu)
さすがに、少しは秋の気配ただよい始める季節に ふさわしく、香り高い文学の話題でも、たまにはネ。と思ったまま寝かせていたら、、、
暑がりの私は、例年、最低でも10月に入るまで、アイス コーヒー(ミルクたっぷりめ!)を愛飲してますが、こういった話題となりますと、やはり、ホットに切り替えたくなりますねえ。。。と言いつつ、まだ冷コだけど(笑)だって、なんかヘンに暑いんだもん。と思ったまま寝かせていたら、、、
年が明けちゃいましてm(_ _)mおめでとう(爆)
ところで、
実は、あたくしの大好物の一つなんざます、「耽美」とか「幻想」ってやつが(笑)
ええ、なにを隠そう、若かった頃の あたくしは、だんぜん「耽美派」だったのよ~。どうだ、信じられねえだろ?w
定番中の定番、ポー大先生は勿論のこと、日本の作家では、高校生の頃、横溝正史にハマって、学校の図書室で次々に借りまくってた。
文章の耽美ぐあいでは、『蔵の中』も特に良かったが、
『真珠郎』の出だしには、ほんと、シビレたもんです。
~「真珠郎は何処にいる」~
んもう、いきなり禍々しくて、ドキドキだわw
そうすると、
忘れるわけにいかないのが江戸川乱歩大先生でございます。
『孤島の鬼』あたりを読んでウ~ットリざあました(笑)
ま、「耽美」だの何だのって、そんなものはカケラも見当たらぬ、身も蓋もない現実生活にドップリ埋没したまま、長いこと忘れてたと言うか忘れてることも忘れてたんだけど、
こないだ、ふと、ミュージカル映画で『オペラ座の怪人』の動画を視聴して、つられて思い出した。
ルルー原作の『オペラ座の怪人』は、小学生時分に読んだ記憶が あるけど、よく憶えてない。それに、耽美とか感じなかったしなあ。。。ヘンな爺さんが出てきて、悪さを はたらく話、くらいしかw
これ。2004年に、映画化されたもの。
「オペラ座」の象徴である巨大なシャンデリアが、あたかも宇宙船が降りてきたかのような不気味さと共に、ある種の美をも感じさせつつ、ゆっくりと落下していくシーン。いかにも怪奇耽美的な作品らしく、この「不気味と美」は、全編にわたって貫かれております。いかにも、いかにも。
Fuseli(1741-1825)The Nightmare(1781)
これは、まさに「地下神殿」w
“The Phantom of the Opera”
かわいそうなファントム。。。
若きヒロインのクリスティーナは、ファントムから醸し出されるデモーニッシュなセクシーさと、彼の持つ悲劇性ゆえの陰影に、かなり揺れ動いたようだけれど、ファントムにとっては、一世一代の純愛そのもの、なのよね。
ところが、怖れつつも抵抗する女であるクリスティーナは、よりによって、万座の観衆の前、華やかな舞台の上で、ファントムが陶酔の最高潮に達した まさに そのとき、彼が最も嫌がることを容赦なく やり遂げた。
そりゃそうでしょう。
ファントムは、やっぱり独りよがりのエゴイストだもの。
そして、
怒りのファントムは、ついに、クリスティーナの恋人を殺そうとまでするのだけれど、、、
ほんとうの愛なら、相手の最も嫌がることは、できないのよ。
恋や、そして愛も、強要は できないの。
でも、
結局のところ、ファントムを愛していたと言えるとしたら、それは、終始、彼を かくまった「マダム ギリー」じゃないのかしら?「母の愛」的に。ヒロインのクリスティーナも、それに近い部分は あるけれど。
それにしても、
あちゃらの俳優さんたちを見ていると、ごく若い人でも、すごい大人びてるのに驚くことが多々。
(ずっと以前の過去エントリーでも紹介したことが あったかなと思うけど)、当時14歳のジョディ・フォスター主演『ダウンタウン物語』なんかも圧巻ですよ。ロリコンの向きは、閲覧注意ですw
“Bugsy Malone - My Name is Tallulah”
やっぱり、日本人は、全体的に小粒ちゃんが多いのかな~?って気が する。
現代日本の芸能界「アイドル」なんて、まさに「会いに行ける」とか「一山ナンボの彼女たち」がウリの体たらくだもんね。
日本における「アイドル」は、実年齢よりも、ことさら幼く見せてる感じだけど、
真逆に、
実際まだ子どもなのに、そのへんのオトナたち軒並み負けそうな『ダウンタウン物語』のJ・フォスターやダンサーの女の子たちと、日本の芸能界アイドルたちを同時に並べてみたら、見劣りするなんてもんじゃ済まないね。存在感も実力でも。
それでなくてもアジア人の、特に極東方面の人種は、全体に「ひらたい」w容姿で、地味ですからな~(些かフクザツな気分)。
たま~に、日本人と言うか東アジア人離れしたような容貌の人もいるんだけどねえ。うちの母親なんか、まさに そうだったし、母方の祖母なんて、エリザベス・テイラーに似てたそうな。ただ、彼女は若くして亡くなってるので、孫娘の私は見たことないのが残念だ。
同じ日本人でも、昔の俳優さんのほうが、風貌からして、スケール大きい感が あったような気が する。
さて、
今回、紹介した『オペラ座の怪人』は、特にヒロインのエミー・ロッサムを始め各俳優陣の歌唱が素晴らしくて、どこの一流オペラ歌手の吹き替えなんだろうかと思ってたら、吹き替えじゃないんだって。よく知らないままだったので、調べてみたんだけど、どえりゃあビックリだ。
「怪人」を演じたジェラール・バトラーは、もと弁護士だそうで、声楽のレッスンなんて無縁のはずだったのに、あれだけの美声と表現力だもんな。もちろん、猛レッスンを こなしただろうけど。
ただ、歌ってるのを聴くと、なるほど、ちょっとロックっぽい感じするね。
作曲者のAndrew Lloyd Webber、すばらしい才能!
その作品は、いかにもクラシカルで壮麗で優美で、名前からして、大昔の音楽家ですか?って感じがするんだけど、私たちと同じ現代人なのよね。
この人の他の作品でも、メロディアスな名曲が いくつも あって、
私も、『メモリー』や『私はイエスが わからない』など好きでした。
こちらは、「地下神殿」と言うよりも、なぜ、『オペラ座』の地下に墓地が?とか、汚水の臭いとかは だいじょうぶなのかなあ?と思っちゃったww
サラ・ブライトマンでのハイライト シーン。
彼女は、作曲者ウェッバーの もと夫人で、まさに、『オペラ座の怪人』を彷彿とさせる関係性であり、そもそも、ブライトマンこそが、ウェッバーの『オペラ座の怪人』最初の歌い手だったわけらしい。
Witt(1840-1901)The Masked Beauty
ジェシカ・ハーパー主演の『ファントム オブ ザ パラダイス』も、過去エントリーで紹介したことが あったと思うんだけど、
“Old Souls”
この映画のなかで、ヒロインが舞台上で歌うシーンは、今回とりあげたミュージカル映画版『オペラ座の怪人』のオマージュだということにも気づきました。
Beraud(French,1849-1936)In Front of the Opera
ところで、かの『国書刊行会』でしたなあー。
なかでもジャン・ロラン(Jean Lorrain)の作品を読んで、これまたウットリしたのは、あたくしが、「櫛に流るる黒髪の おごりの春の」まっただなか、二十歳前後の頃だったか。
『仮面の告白』じゃなくて『仮面の穴』いや『仮面の孔(Les trous du masque)』ですよ。
日本語だと、ちとダサい題名のような気もするがねw
その頃、同時に読んだメリメ(Prosper Mérimée)『シャルル11世の幻想』は、もちろん翻訳ながらも、抗い難く滲み出る理知的な表現と、息を呑むほどの格調高さに圧倒されました。
ロランもメリメも、全体の印象と、いまでも部分的に憶えている文章からは、ゴシック、退廃、耽美の香りが立ちのぼってきて、えも言われぬ境地へと いざなわれたもんです。
いやぁ、なつかしいわ。
いつまでも、どこまでも、耽美の世界に沈潜していたいわ。。。
さてと。
気を取り直して、身も蓋もない現実に、あらためて埋没するか。とほほ
Somov(1869-1939)Masquerade