2016.08.18 (Thu)
最近、読みかけの続きもの小説の文庫版を、いつものように寝る前に、なかばウトウトしながら読んでいくと、偶然、葬儀を めぐる一連の場面に さしかかり、
そう言えば、今、お盆の最中だった?と思って、確認してみると、やはり そうだった。
どうりで、「盆の入り」に、妙な夢を見たわけだ。
というのも、
子ども時分から寝つきが悪かった体質のせいなのか、
20歳代に入って、ひどく体調を崩していた頃、睡眠の質が、どんどんと悪化していったせいか、いわゆる金縛りと悪夢の連続に陥り、しまいには、就寝すること そのものに、かなりの恐怖を感じるほどになってしまい、ものの10数分さえも熟睡できず、疲労が極度に蓄積していた時期が長かった。
この話も、たしか、旧ブログに書いたと思うけれど、
その頃は、「お盆」の日に入ろうが、そもそも、そういった方面に、殆ど無関心だったので、それと気づかないまま就寝中、特徴的傾向のある夢を見ては、うなされて目覚めることも少なくなかった。そのようなパターンが何年たっても続いて、
そのうちに、どうやら、「お盆」の入り、あるいは特に、「中日」と呼ぶ日に、どうも気味の良くない夢を見ることに思い当たった。
Fuseli(1741-1825)The Nightmare
その後、
疾病治療の おかげか、極端なまでの睡眠障害の傾向は薄れていき、
数年後の あるとき、「お盆バージョン」的悪夢を見ずに済むようになっていることに気づいて、やれやれと、ホッとしたのだった。
Dadd(1817-1886)Titania Sleeping(1841)
『夏の夜の夢』
舌が二つの まだらへび
姿見せるな はりねずみ
いもりや とかげよ いたずらするな
われらが女王に近寄るな
ナイチンゲールよ いい節で
いっしょに歌おう 子守歌
ルラ ルラ ルラバイ ルラ ルラ ルラバイ
わるさも呪文も魔法の力も
お妃さまには近寄るな
お休みなさい ララバイ聴いて
【参考:http://www.e-freetext.net/mdnght.html】
あれからも また数年が過ぎていき、その間、身内の何人かを見送り、
なおも、その時期に さしかかると、なんとなく、用心するような気持ちが消えなかったのだが、今年の「お盆の入り」日に見た夢は、摩訶不思議ながらも、意外なほど、不快感は伴わなかった。
目覚めてから、無意識に脳裏に浮かんできたメロディの切れ端が、
たまたま、その歌だった、そのせいか、ここ数日は、何か作業しながら、ふと、『黒いオルフェ(『カーニヴァルの朝』)』の歌を呟くように口ずさんでいた。
若い頃、愛用していたギターを爪弾きながら歌うレパートリーの一つでもあったので、原語の歌詞の ところどころが、いまも、辛うじて出てくる。
いと貧しき人々、いと高きところに ありて
この『黒いオルフェ』(1959年)という映画作品を初めて観たときも そうだったし、いまでも、あらためて観るたび、
高所恐怖症や足弱では、とても やってられないであろう急峻な山の上に建ち並ぶ、登場人物たちの素朴な住まい、
そこでの、息を呑むほど素晴らしい眺め、
のどかにして、どこか優雅でさえある生活の ようすに、思わず感嘆する。
Edward Poynter(1836‐1919)Orpheus and Eurydice(1862)
Corot(1796-1875)Orphée ramenant Eurydice des enfers(Orpheus Leading Eurydice from the Underworld)1861