2016.06.16 (Thu)
「思考回路」が同じとは。。。
むかし、私が、まだ中学生の頃、
またぞろ、酒乱親父の暴力から、母親を庇い続けて一晩じゅうの地獄図絵の夜が明け、
さすがに親父が暴れ疲れて寝込んでいる隙に、
親しくしていた隣家へ逃げ込んでいた。
前夜は、大阪府警に お勤めだったオジさんが、当直勤務か何かで、
ご在宅でなかったせいもあって、いつにも増して酷いめに遭わされた私だが、
期末試験か何かの最中で、学校を休むわけには いかなかったので、
登校の仕度のために、髪を梳いていたら、
ヘアブラシに、「お岩さん」さながら、髪がゴッソリと抜けてきたのを見て、
われながらギョッとしたのを、横で眺めていた母親が、ふと、
「おとうさんは、お前を利用するために、私に産ませようとしたんだ」
とか言って寄こしたのは、そのときだったような記憶が ある。(別のときだったかもしれないが)
もちろん、私は、従来から、母は断然の被害者なのだと信じて疑わなかったし、
親父が、どれほど姑息で邪まな考えかたを する性格であろうと、もう驚く余地も なかった。
なので、母親が唐突に言って寄こした そのときも、べつだん驚きは しなかった。
それから、時が流れ、
母が亡くなってから後、いつ頃だったろうか、
あの一言が、実は、真相とは真逆だったかもしれない、
いや、真逆と言うべきだったのだということに気づいたのは。
親父のほうも親父のほうで、
母親が、いわゆるダブル不倫の果て、周囲の猛反対を押し切って、
「俺と一緒になったのには、おかあさんのほうに、内心で期していることが あったからだ」
と、ぽろっと言った。
父のほうは ともかく、
母は、親に無理やり決められた相手と、しかたなく結婚したのが最初で、以降、その相手を嫌いになることは多々あっても、とうとう最後まで、好きになれなかったとか、
そのへんの背景事情は、私も、すでに察していたことだったので、
父の一言も また、もはや驚くに値しなかったのだが、
ふと思い出したのが、
先述の、
親父のほうが、子である私を利用するために、産ませた、
という母親の発言。
すすり泣く私を尻目に、いつもいつも、
「この子には、あんたしか おらんのやからな」
と、厭味タップリに、親父に言い放っていた母親。
「おまえなんか産むんじゃなかった」
「おまえさえ、いなければ」
「おまえなんか、いつでも置いて出て行く」
「言うことを聞かなかったら、毒薬を飲んで死ぬからな」
その生を終える頃には、
私しか、依存できる対象が なかった母のほうが、現実には、
「あんたしか おらん」かったわけで。
いまにして思うと、
母が最初に倒れて、
なぜ、救急に連絡しないのかと、声を荒げても、なおもグズグズしていた親父の本心に、ハッと思い当たった最近。
いくらなんでも、そんなことは ないはず、と打ち消したいけれど。
つくづく、実の親でも、理解しがたいところが あった。
そうして、
母親の、あのセリフを思い出すたびに、
同時に思い出すセリフが ある。
それは、先日のエントリーで実例に挙げた、「仕事が遅過ぎる」同僚の言っていたことだ。
いわく、
「上司が、殊更、あんたにばかり、急ぎの仕事を大量に持っていくのは、あんたを潰そうとしているから」
「あの上司は、いままでも、ずっと、デキる社員にほど、そういう仕打ちを してきたよ。だから、優秀な人ほど、しんどくなって辞めていったんだよ」
と。
さて、どうだろうか。。。
あの頃の上司の本音や真相について、私には、断言することは できない。
かの同僚と、私の母親とでは、外見から能力から、ほぼ全てにわたって異なっている。
ただ、
生前の母が言って寄こした、
「おとうさんは、あんたを利用するために、私に産ませた」
というセリフと、どこか重大な共通点を感じるのだ。