2015.05.30 (Sat)
『大山のぶ代、認知症公表後に変化 夫・砂川が「成長」と明かす』
デイリースポーツ 5月26日(火)18時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150526-00000056-dal-ent
前 登志夫さんという、歌人のかたの話を思い出した。
さる大手新聞社主催の、読者から寄せられる短歌選者を務めていらしたが、日常の あれこれを題材に、コラムの執筆もされていて、そのなかの一話だ。
前氏の母上は、その頃すでに認知症を患って長年ということだったようだが、それに まつわる様々な感慨を述べておられたのも記憶に残っている。
ある夜更けに、
前氏が書斎にて書き物か何か、お仕事を なさっていたとき突然、すーと引き戸が開き、御母堂が顔を覗かせられた。
気配に振り向いた前氏が些かギョッとしていると、
「まだ仕事してるんか」
と、穏やかに おっしゃり、
「はよ寝えや」
と、言い置いて、静かに戸を閉め、戻って行かれた。
前さんは、キツネにつままれたような気分だったらしく、しばし呆然、
「おかあさん、ひょっとして、もとの正気に戻った?」というふうに感じられたと、そんな話だった。
うちの母と、このことを話題にしてみると、当時は、しっかりしていた母が、
「そうやねんて、ボケてしもたとか言うてても、ある瞬間、シャッキリ、もとの正気に返るときがあるらしいな。そいで、また次の瞬間には、ボケ状態に戻っとるとか」
と言っていた。
これに近い現象は、それから十数年ほど後、母自身にも訪れることとなった。
もっとも、母の場合は、病院のベッドで、ほぼ寝たきりの状態になってしまっていたのだが、
ある日、いつになく機嫌が良く、若い看護婦さんに話しかけられて、大好物だった鮨と、行きつけだった店の話題になり、
目は固く閉じたままでいるのに、スムーズに出なくなっていたはずの声が、驚くほどの滑らかさをもって話し始め、もとのような快活な口調だけが、病に倒れる前の、社交的で、人の気を逸らさぬ受け答えの闊達ぶりを、たしかに取り戻したかのごとく、
というよりも、
かつての母が、現状の母自身に乗り移ったかのような光景だったのである。
そのとき、私は、人の脳というもの摩訶不思議さを目の当たりにした思いだった。
ところで、旧のブログを やっていたとき、そこは産経系列の運営サイトだったということを何度か言ってきたが、
そのせいでか、そこのブロガーは、いわゆる「ウヨ」的なタイプとか「在特会」系、少なくとも自民党支持者たちが圧倒的優勢だったので、何も考えていなかった私は最初の頃、かなり面喰っていた。
なかには、アメリカ人と結婚し、アメリカ在住というブロガーたちもいたが(私は、そのなかでも、ある種のひとたちに対しては、あくまで、「もと日本人」と、ひそかに呼んでいるw)、
いま振り返ると、
やはり、民主党を、口を極めてコキおろす、
米軍基地は必要だという強硬な立場で、元首相の鳩山さんあたりを罵りまくる、
聞けば、そういうなかで、ある女性ブロガーなどのように、アメリカ人である ご亭主がユダヤ系というのは、はたして無関係なのだろうか?w
東北での大災害時、「トモダチ作戦」というものが報じられたときなどは、殊の外たいへんな感激と興奮のようすで、
「ほぉら!日本にはアメリカが必要なのよ。アメリカに感謝すべき!!」
と言わんばかりだったが、
のちに、「トモダチ」である先方から、シッカリと、多額の費用の請求だか賠償要求だかがあったことが公になると、たちまち黙ってしまったようだ。
私は、当時、ただただ、米軍の行動力の迅速さと力強さには大いに感心したものだが、
反面で、日本側当局の鈍くささに、かえって、なさけなくなってしまった。
さて、旧のブログ サイトには、このように、親米かつ熱心な自民党シンパらしき、あるいは「ウヨ」系ブロガーたちが大勢いたというわけで、
なかには、
からだのほうは、まだまだ元気なのだが認知症の祖母の見守りや世話を引き受けつつ、
時々、テレビ放映される国会中継や、政治を話題にする番組を、現場でのナマの発言と、連続した映像記録に加え、要所にブロガー本人の論評や批判を織り交ぜつつ、エントリーに まとめたものをアップするのを生き甲斐にしているかのような人もいた。
私とも数回ほど、コメントで遣り取りしたことがあるのだが、
地方の実家住まいらしき彼女は一日じゅう、その祖母さんの傍に付き添っておられるようで、施設に入れてはと、他人から勧められても、家族で話し合った結果、断固として拒否し、祖母さんの最後が来るまで、そのブロガー女性が中心になって、めんどうを みていくという信念と方針なのだそうだ。
孫娘である彼女は、どうやら、無職であるらしく、
祖母さんの お世話するについても、家族のなかで一番、自分が、祖母を理解しているんだから、他の家族が、なまじっかに手を出そうとするとイライラするとか、
認知症の祖母が、国会中継等で、自民党に敵対する野党議員の誰それを、憎々し気な目で睨んでいたのが嬉しかった、みたいなこととかを縷々つづっていた。
まだ若い(せいぜい30歳代?)らしいのだが、実家から出たことなさそうだし、社会人経験や仕事のキャリアは、たぶん、ほとんどないものと思しく、
おばあちゃんの容体が いよいよ悪化したり、いずれ見送る日が来たら、それ以降、この人、どうするのかなあ?とチラッと思ったことがある。
いくら認知症でも、からだのほうが頑健だと、非常に長生きする可能性が高いし、祖母さんのあとには、ご両親が、と続いていく恐れもあるが、
ご本人は、こういうふうにするのが、家族の努めであると固く信じていたようだし、
それこそ、
家族の内側で全てを処理する行きかたは、自民党の憲法草案にも明記されているように、現政権が、国民に対して要求したいことにピッタリ合致しているわけだがねw