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とりあえず、ひかりのくに
     
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2014.03.11 (Tue)

はじめて、少し泣きました。

カーテンも全て取り外された窓ガラスの埃越しの外を眺め

 

三年前、ここから ずっと北の地で亡くなった、顔も名も知らぬ人々のことも過りました。

 

 

さようなら、と

つぶやいて

最後に ふりかえったとき

追憶のなかの一番優しかった顔が二つ並んでいるのが見えたようで

 

でも、それは幻想

私の心の底に、捨て切ることが できず、わずかに縋る想いが呼んだ

幻想

 

 

それから

かつての住まいのあとに行ってみて

裏の兼業農家の主人が、過ぎ去った あの頃と何ら変わらず

いまも、ささやかな畑の手入れに励んでいるのを見て、少し驚きながら佇み

 

あらためて
それにしても、こんな狭い場所で

わが家は、あんな修羅場を日々、演じていたのか…と思い

 

 

それでも、いつかは、幕引きの日が訪れるもので

 

ごく若かった私が、どんなに、その日の予感に深く怯えていたとしても

あの日々、誰もが、ほんとうには分かっていなかったのだと

元気だった彼ら おとなたちのほうが、もっと

 

 

命って、はかない。

 

その日が来たら、あとは

もう ぱたぱたぱたと、かたづけていき

 

一つの季節が終わったのだ

 

 

猫たちの どの子かは

もしかして、この一群れの花のあたりに埋まっているのかもしれないな、とも思いつつ

やがて また、自転車を漕ぎ出し

 

ふと、高校時代のクラスメートたちが

アンチャンのことを、紹介してくれろと大騒ぎしていたことやなんか思い出し

笑いを こらえながら

どんどん漕いで漕いで

 

また春が めぐってきて

そうして、

もう幾つかの小さな季節も めぐってゆくだろう

 

やがて私も

それまでは



追憶【旧ブログ“Eine Prinzessin des Lichtes”より】
http://schneewittchen.7narabe.net/%E6%97%A5%E8%A8%98/%E8%BF%BD%E6%86%B6%E3%80%90%E6%97%A7%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%E2%80%9Ceine%20prinzessin%20de 

 


Hammershøi(1864-1916)Sunbeams(also known as Sunshine. Dust Motes Dancing in the Sunbeams)1900

 

 CARPENTERS  “HEATHER”

 

 

  

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