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とりあえず、ひかりのくに
     
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2014.01.27 (Mon)

『明日ママがいない』というドラマについて

http://schneewittchen.7narabe.net/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E3%80%8E%E6%98%8E%E6%97%A5%E3%83%9E%E3%83%9E%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 

 

ご存知ですか、谷崎さん

http://www.asiawave.co.jp/bungeishichoo/bsessay/shionoyanobuko.htm

小説『春琴抄』が、多くの人たちの間で、視覚障害者のことを知るためのガイドブックに成り下がっていると知ったら、谷崎潤一郎は草葉の陰で苦笑することだろう。

 この小説は、盲目で気位の高い天才的な琴・三味線奏者である春琴に、丁稚の佐助が献身的に仕えるという物語で、そこには無類の耽美的な世界が繰り広げられている。それをそのまま現実世界に当てはめてしまったり、道徳論を持ち出したりする読者の何と多いことか。しかも、江戸から明治にかけての物語という設定であるにも拘わらず、現代にも通用する普遍的な話だと思い込んでしまうのだ。おかげで、私たち視覚障害者はそんな読者への対策に手を焼く羽目になったのである。
 この物語は、全くのフィクションであるにも関わらず、谷崎の巧みな筆によって、あたかも春琴と佐助が実在の人物であるかのように思い込ませてしまう。私も、まんまと騙された読者の一人である。谷崎自身が二人の墓にお参りしたことがあるとか、明治初年か慶応の頃に撮られた春琴の写真を見たとか、『鵙屋春琴伝』なる小冊子によって春琴のことを知るに至ったとか、その他、実話であるように思わせるためのお膳立てが満載なのだ。大阪某所の丘の上にあるという二人の墓とそれを取り囲む風景の描写などは実に精密で美しく、夕日に染まった古い墓石のたたずまいと、眼下の夕靄の底に広がる工業都市とのコントラストは、時の移ろいをしみじみと感じさせ、お見事と言うしかない。
 「そんなまことしやかな書き方をするから視覚障害者への偏見が助長されるのだ」と言う人もいるが、それよりも、この小説の特異な世界に浸ることのできない真面目な読者のいることが問題なのだ。だが、谷崎にとっては、そんなことはどうでもよかったのだ。耽美の世界へ読者を誘い込むことが彼の目的であり、そのためには墓や写真や春琴伝を登場させてリアリティーを出す必要があったのだ。

 

いやあ、きょうまで知らないでいた。。。

他の事で検索中に、例のごとくで「たまたま」行き当たったのだが、とりあえず、他のエッセイも続けて幾つか読ませていただいた。

すばらしいなあ、この人の文章も感性も。

特に、こういうところの描写。

深夜の散歩

 ジンチョウゲの咲く頃には、どの道を行っても、その香りに誘惑され、もう少しさまよっていたいと思ったりする。虫しぐれの季節には、虫たちが、草むらのある場所や、その広さや形、そして道との境目を、まるで音の地図でも描くように教えてくれる。ちょっと風でも吹けば、葉っぱが揺れる音で、木や草が立体地図を描く。
 もちろん、昼間のほうが、はるかに様々な音に満ち、しかもその音は活発に動いている。それに比べ、深夜の音は密やかで、種類も動きも少ない。だからこそ、かえってそれらの音風景は、昼間よりくっきりしたシルエットを描くのだ。そして、今この風景を味わっているのは私一人だと思うと、益々その風景は魅力的なものに感じられてくる。

 

残りも読ませていただくつもりでいる。楽しみだ。

 

塩谷靖子さんのホームページ

http://www.nobuko-soprano.jp/

塩谷靖子さんを検索中、こちらも見つけた

http://shinetu.blog.so-net.ne.jp/2009-06-09-1

http://shinetu.blog.so-net.ne.jp/2014-01-14

 

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